恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
体調不良…
古庄の気がかりは、ほどなくはっきりと形を成してきて、佳音は一人でいることが多くなり、クラスの中でも浮いた存在になりつつあった。
それは、クラス担任でもなく授業も担当していない真琴の目にも明らかだったので、もうとっくに古庄も気が付いて心配しているに違いない…。
授業の後、真琴は思い切って、気さくな女の子たちに様子を尋ねてみることにした。
「…ちょっと森園さんのこと、訊きたいんだけど…」
と古庄のクラスの子に声をかけると、一緒にいた真琴のクラスの加藤有紀も教卓の周りにやってきた。
古庄のクラスの世界史は、真琴のクラスと合同で、地理・日本史と3解体で行われている。
1年生の時、あれだけ古庄に熱をあげていたにもかかわらず、有紀は2年生に上がる時に、地理ではなく世界史を選択していた。
「佳音ちゃん。この頃一段と暗いよね…」
「まあ…、家族が死んだんだから無理もないけど」
「でも、もともと不思議ちゃんで友達も少ない方だったしね…」
女の子たちは、そう言って口々に佳音の印象を語る。
「…『不思議ちゃん』…?」
真琴も首をかしげて、訊きなおした。