恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「そう、ちょっと変わってるんだよね。価値観が普通じゃないっていうか…」
「それで、その自分の価値観以外は受け入れようとしないから、それを共有できる人とでなきゃ一緒にいられないよね」
エキセントリックなところがあるということだろうか…。
確かに、あれだけの美少女なのにモテている風ではないところを見ると、女の子たちの見解も的を射ているのだろう。
「でも、前は少ないけど友達もいたんだよね…?」
少なくとも、今のように孤立した存在ではなかったはずだ。詳しい事情を、真琴は掘り下げて質問した。
「うん…。だけど、最近の佳音ちゃんは、その親しかった友達も受け容れないっていうか…」
そう言って、有紀が口を開く。
「…有紀ちゃん。隣のクラスのことなのに、よく知ってるのね?」
話の本筋とは違うけれど、真琴の中に浮かんだ疑問が、不意に口を衝いて出てくる。
「…それは、溝口くんが言ってたから…」
「溝口くん…?」
突然出てきた男の子の名前に、真琴がさらなる疑問を口にすると、途端に有紀は顔を真っ赤にして口ごもった。