恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「……君は、少し働きすぎなんだよ」
ベッドの傍らに立ち、養護教諭の処置を見守っている古庄から、声をかけられる。
しかし、真琴は、側に養護教諭がいることもあって、何もそれには答えなかった。
働きすぎと言われても、仕事の分量は古庄とはそう違わないはずだ。それどころか古庄は真琴と同じ仕事をこなしながら、部活の指導もしているし、生徒会の顧問の仕事もある。
周りの教師たちよりも大変なわけでもなく、普段と変わらない仕事をしているのにこんな風になってしまったのは、自己管理が出来ていないからだ。
貧血になってしまったのならば、食生活にも問題があったのかもしれない。
自覚のなかったそんな自分が本当に情けなくて、真琴は泣き出してしまいそうだった。
「少し症状が落ち着くまで、横になっていた方がいいわね。…この後、授業は?」
養護教諭がそう問いかけると、真琴の代わりに古庄が口を開いた。
「この後の7時間目は、多分空いてたはずだから。終礼も…高原先生に頼んでおくから、賀川先生はここで休んでいればいいよ」
とにかく今は、素直に古庄の言葉に従うしかなかった。意地を張って、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。