恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「…君も行くのか?夜も遅いし、明日も仕事はある。君は休んでいた方がいい」
真琴の体を心配して古庄がそう言うと、真琴の形相が変わった。
「何を言ってるんですか。生徒がいなくなったのに、ゆっくり寝てなんかいられません!さあ早く!和彦さんも着替えてください!!」
真琴に一喝されて、古庄は縮み上がった。
自分のことを犠牲にしても生徒のことを優先させる…こんなところ、本当に真琴は教師の鑑だと思う。
担任である古庄よりも真琴の方がより深刻に、佳音のことを心配しているようだった。
「…私が古庄先生の家まで先生を探しに行って、それから二人で森園さんを探索した…ということにしておきましょう」
二人でいることの不自然さを説明するために、真琴は前もって答えを用意する。
真琴の車のバンドルを握りながら、古庄は頷いた。真琴のこの周到さと思慮深さは、感服に値する。
「…どこにいるんでしょう?」
助手席に座る真琴は、居ても立ってもいられないように、言葉を絞り出した。
「彼女はここのところ不安定な感じでしたから…早く見つけてあげないと……」
佳音の危うい様子を、真琴もちゃんと認識してくれていたようだ。