恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



だからこそ、心配が大きくなる。
焦りで蒼白になった真琴の顔に、古庄はチラリと視線を投げかけた。


「森園は、今週になってずっと欠席が続いていたんだ…」


それは姿が見えないから、真琴もうすうす気が付いていた。


「それに、弟が亡くなった件以来、家の中もギクシャクしてるらしい…」


それを聞いて真琴は、昨日でも今日にでも、様子を見に家庭訪問に行くべきだったと思う。
けれども、担任である古庄がそうしなかったのは、真琴のことが心配で、真琴のアパートへと通っていたためだ。


そこまで思いが及ぶと、真琴の中に罪悪感のようなものが込み上げてくる。本当に佳音の身に何かあっては、いくら後悔しても取り返しがつかない。


2年部や生活指導部の数人の教員たちが、手分けをして佳音を捜索しているはずだが、まだ見つかったという連絡は入ってこない。

古庄は道々のコンビニの前などで車の速度を落とし、店内を確認しながら、車を歓楽街の方へと走らせた。



きらびやかなネオンの光の中を、真琴の車がゆっくりと行く。

古庄は運転をしているので、助手席にいる真琴があちこちに視線を走らせ、目を凝らして佳音の姿を探した。




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