恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「……あっ!!停めてください!!」
真琴の声が響いて、古庄は反射的にブレーキを踏んだ。
停車するとすぐさま、真琴はドアを開けて飛び出していった。
向かったのは、道路の反対側に停車している白いセダン。
「森園さん!?何してるの?乗っちゃダメよ!!」
突然響いた真琴の声に、佳音も驚いて振り向いた。
一緒にいた遊び人風の男二人が、焦ったように佳音の腕を掴んで、急いで車に乗り込もうとする。
「あなたたち!森園さんをどうするつもり?離しなさいよ!!」
真琴は佳音を守るために、恐怖も忘れて大男に歩み寄り、佳音の腕を掴んでいる手を外そうとした。
「うっせーよ。お前はどっか行ってろよ!」
と、大男が真琴を思いっきり突き飛ばす。
すると真琴は、激しく尻もちをついてひっくり返った。
遅れて駆けつけていた古庄が、この様子を目の当たりにして、逆上する。
「おらぁー!お前ら!!何やってんだぁ――!!」
古庄の声とは思えない、腹の底から唸りあげるような怒号の迫力に、真琴自身も路上に座り込んだまま震え上がり、腰を抜かした。