恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「今日はもう遅いから、詳しい話は明日学校で…ということになったよ」
それを聞いて、真琴も頷く。
「親子を同席させるんじゃなくて、別々に話を聞いた方がいいかもしれないですね…」
「そうだな……」
家庭内の問題の場合、そうした方が事情を把握しやすいだろう。古庄は重く深い溜息を吐きながら、相づちを打った。
深刻な問題を抱えてしまった古庄に、何か励ますことはないかと、真琴は言葉を探し始める。
すると、運転をしていた古庄が、不意に湧き出てきた笑いをもらした。
重苦しかった空気が一変し、真琴は目を丸くして古庄を見つめる。
「……君は、思いのほか勇ましいんだな。あの男たちに立ち向かっていくなんて、ビックリしたよ」
先ほどのことを思い返して、真琴も肩をすくませる。
「あの時は、森園さんを守らなきゃって、無我夢中で……。でも、和彦さんだって、あんな怒鳴り声。あの男たちより和彦さんの方が怖かったです」
今度は古庄の方も、恥ずかしそうに、それでいて面白そうに笑った。