恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「あれは…、君に手を出されて、ついカッとしてしまって…。でも、君までビビらせてしまったわけか」
「それに、あんな大男一発で倒しちゃうなんて、和彦さんって、本当は強いんですね」
「ハハハ…ホレ直しただろう?」
と、古庄は照れ隠しのために冗談を言ったつもりだったが、
「はい」
と言う真琴の素直な受け答えに、古庄はもう照れを隠せず言葉を逸する。顔も真っ赤になっているのだろうが、暗い車内がそれをうまく隠してくれた。
「ラグビーやってた時の賜物だな。試合の時は大声も出すし、もっと大きいヤツでもタックルして倒してたから」
少し間を置いて、照れているのを紛らわすように口を開いた。
「ホントにラガーマンだったんですね。」
真琴もしみじみと相づちを打つ。
今の洗練された古庄を見る限り、男だらけの中で泥にまみれて駆け回っていたなんて想像もつかない。
「そうだよ。男のケツばかり追いかけてる、むさ苦しい奴だったんだ。…俺の実家で写真見せてもらったんだろ?」
「ああ!あの写真!?」
思い出すと、真琴に思わず笑いが衝いて出てくる。その笑いは、収まることなくいつまでも真琴を楽しませた。
「笑いすぎだぞ」
「すみません…」