恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
佳音はあれからいっそう休みがちになった。
たまに学校へやってきた時には、授業の時以外は必ず古庄の所に姿を見せた。
その表情は、やはり繊細なガラス細工のように、今にも壊れそうで…。
古庄の側を離れない佳音を、苦々しく思う女子生徒が大勢いるのと同様に、職員室に入り浸る佳音をうっとうしく思う教職員もいたが、そのことについて何も言い出せなかった。
そんな教職員の視線を気にして、古庄は職員室から佳音を連れ出し、廊下だったり、時には教育相談室で佳音の相手をした。
そして古庄に恋をする佳音は、古庄がそうしてくれることが却って嬉しいようだった。
「森園の両親が、とうとう離婚したらしいよ…」
12月になったある日の職員室で、真琴は古庄の口からその事実を聞いた。
ますます佳音の精神状態が不安定になるのは、容易に予想が出来た。
「親同士は、別れてしまった方がすっきりするのかもしれないけどな……」
この世に一人ずつの父親と母親が一緒にいないなんて、子どもにとっては不自然な状況に直面して、普通でいられる子どもなんていない。
「それで、森園さんは?お母さんに引き取られたんですか?」
真琴も深刻そうな表情で、合いの手を打った。