恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
それは紛れもなく、古庄だった。
古庄が誰かと向かい合って、食事をしている。
今日はどんなことがあっても一緒に過ごすと約束した金曜日だと、忘れてしまっているのだろうか…。
信号が変わり車を発進させながら、古庄の向かいに座る人物を確かめる。
するとそこには、笑顔で楽しそうに何かを話しかけている佳音の姿があった。
真琴の息が止まる。
それに引き替え、胸の鼓動はどんどん大きくなっていく。
古庄が佳音と一緒にいる理由は解っている。
家に帰っても寂しく、もしかして食事もままならない佳音のために、食事を共にしてあげているのだろう。
それとも、佳音の身に、すごくダメージを伴うような出来事があったのかもしれない…。
そんな風に目の前の出来事を、自分に説明をしたけれども、真琴は無意識のうちに動揺していた。
どこをどんな風に運転して、帰宅したのかさえも思い出せない。
アパートの部屋に入ると、買い物してきた食材を放り投げ、通勤用のバッグも放り投げ、真琴はベッドへと倒れ込んだ。
いきなり、地面の中に引き込まれていくような疲労感が襲ってくる。