恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
本当は、帰ったらすぐに食事を作ろうと思っていたけれど、何もする気が出なかった。
どちらにしろ、古庄は夕食を食べて帰ってくる。
――生徒は、森園さんだけじゃないのに…。あそこまでしてあげることないのに……。
そんな風に自分の中に渦巻く思いがはっきりしてくると、真琴の目から涙がこぼれた。
こんな思いが自分の中にあるなんて、自分でも肯定したくない。
これではまるで、生徒の佳音にやきもちを焼いているみたいだ。
どうしてこんなに、自分の中に負の感情が充満しているのかさえも分からない。自分の卑屈な心も嫌になってきて、感情がめちゃくちゃになってくる。
情緒不安定になっているのは佳音だけではなく、真琴も同じだった。
真琴は、古庄が帰ってくるまでに、何とかして自分を制御しようとしたけれども、なかなか上手くいかなかった。
暗い部屋の中ベッドの上で、滲みだしてくる涙を繰り返し、ただ拭うことしかできなかった。
すると、一時間もしないうちに玄関のチャイムが鳴った。きっと、古庄が帰ってきたのだろう。
でも、こんな泣き顔を見られたくないし、今古庄の顔を見てしまうと、自分でも理解不能のこの感情が爆発してしまいそうだった。