恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
食事のことを訊かれて、佳音と楽しそうに食事をする古庄の姿が真琴の頭に過り、それがまた癇に障る。
「和彦さんは食べて帰ってきたんでしょう?」
「俺が?飯を?…どうして?」
古庄の悪びれない素直な疑問を聞いて、真琴は古庄がそのことをごまかそうとしていると思い込んだ。
「……森園さんとファミレスにいるところを見かけました」
真琴がそういうのを聞いて、古庄は真琴が珍しくヘソを曲げていることに勘付いた。
焦って弁解しては逆効果と、つとめて優しくなだめるように、真琴の言葉に答える。
「あれは…、森園がいつも一人で飯を食っているって聞いたから…。でも、俺は君と食べるつもりだったから、食べてないよ」
事の真相を聞いても、真琴の胸の中のモヤモヤは晴れなかった。
あそこで古庄が食事をしたかどうかは、大した問題ではない。問題なのは、佳音と一緒にいる時の古庄の楽しそうな笑顔だ。
「……でも今日は、夕食を作れそうにありません」
言葉にトゲがあることは真琴自身も気が付いていたが、言葉の方が勝手に一人歩きを始めていた。
「うん、それは解ってる。だから、俺がどうにかするよ?何が食べたい?」
「何も食べたくありません」