恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
真琴の目にジワリと再び涙が滲んでくると、古庄はそれを、つわりの辛さに耐えかねていると思ったらしく、
「ああ…。真琴…可哀想に……」
と、そっと優しく真琴を抱きしめた。
それからも古庄は、真琴の手足になるように世話を焼いてくれた。
それが却って真琴にとっては、つわりよりも苦しかった。
優しくいたわってもらうと、先ほどの自分の愚かな言動が際立ってくる。
後悔していて謝りたいのに、うまくそれを表現できず、気分の悪いのを口実に、ずるずると古庄に甘えてしまう…。
そんな自分を省みると、本当に苦しくなってくる。
そんな重苦しい気持ちを抱えたまま、真琴は再び体を横たえた。
いつの間に眠っていたのか…。
ふと夜中に真琴が目を覚ますと、古庄はベッドの隣に布団を敷いて寝ていた。既に熟睡しているらしく、掛布団が呼吸に合わせて上下に動いている。
さんざん吐いてしまったので、喉が渇いている。
真琴はベッドから起き上がり、古庄を起こさないようにそっと布団の脇を抜けて、台所へと向かった。
シンクの前に立つと、いつも真琴がしている通りに、調理器具も食器類もきちんと片づけられていた。
グラスに水を注ぎ、吐き気を催さないように少しずつ口に運ぶ。