キスをお先に、頂きました
「……もう」
膨れっ面になる割に、朱加は嬉しそうで。
それから、お互いの手を握る。
「遥葵、手冷たい」
朱加がそう言った。
「ごめん。朱加の体温、奪ってる」
温かくて朱加を触れて…俺としては一石二鳥なんだけど。
まぁ、朱加の手が冷たくても――
「…好き」
突然、朱加がそう言った。
驚いて朱加を見ると――顔を真っ赤にさせて俺に目を合わせた。
タイミングがいいのか悪いのか。
「……それ、俺が先に言おうとしたんだけど」
「…遅かったね」
朱加はいたずらに微笑んだ。
「いつも、朱加に先越される」