キスをお先に、頂きました
お昼ごはんをどこかで食べようと街中を歩く。
まだ11時だから、並ばずに食べられるはず。
私は美味しそうな飲食店を探し求めた。
ああ、カップルだ。羨ましい。
信号の向かい側にいた。
…私もつい先日までは――
「――…え……?」
じっと見つめると、おかしかった。
信じられなくて、目を凝らす。
「……ど、うして、」
遠目に確認できる、小さな交差点を挟んだ向かい側。
よく、見慣れた人影。