キスをお先に、頂きました
路地とは言え、街のど真ん中で人目を気にせずに泣いた私は。
何故、今日がこんなに晴天なのか――疑問に思う。
雨が降っていれば家に、なにも気にせず帰れるのに――。
どちみち電車に乗らなければいけない私は、
早く泣き止まねばと思うが、涙が一向に止まらないので、
路地から表に一旦出る。
突然そんな場所から私が出てきたことに驚いただろうサラリーマンと目が合うが、
すぐに逸らされる。
今、目が腫れいて、不細工に違いないだろう。
そのことを構わなかったわけではない。
ただ、涙が止まらないのだ。
私は駅までの道を、止まらない涙を流しながら歩いた。