キスをお先に、頂きました
「君はこのまま、そのお相手との恋を、諦めていいのかのう」
「……」
「君はもっと、自分の心に実直に素直になるんじゃ」
「…アドバイスありがとう」
でももう、どうにもならないでしょう。
私はサンタに踵を返さずに、歩き出す。
今度はなにも止められなかったので、また駅までの道を歩いた。
「……あ、」
気がついたら涙は止まっていた。
謎のサンタの言葉が…インチキの占い師だったとしても、
何故か心に痛いほど、その言葉が突き刺さっていた。