ふわふわ。
「絶対に女子力落ちてる」
「私の前で堂々と暴言?」
冷ややかな咲良さんの声に背筋を伸ばした。
……今の、聞かれてたかな?
恐る恐る振り替えると、手は高速で動いているのに、目は爛々とこちらを見ている女帝とバッチリ☆
「ち、ちがいますっ!! 自分の話ですよ、自分の!」
「え~? 山根っちが女子力ないって言うなら、他の女子社員はエロフェロモンの化物じゃない」
「エロフェロモン……」
「あの子達の社食の会話。文章にして社内報に載っけたいわよ。やれ彼氏がピーでピーだから寝不足だとか、どこそこの飲み会ではゲームでピーしただとか、どこぞの上司のセクハラがウザイっていいながら、定時にはミニスカフルメイクでオールするとか」
「ピー……?」
「私も女子の端くれだから、さすがに男子社員の前では問題でしょう?」
それ以前の問題だと思う。
「保湿は大事よ、山根ちゃん」
「いえ。そうではなくて、まぁ、それも大切ですけれど……彼氏いいなぁ」
咲良さんの手が止まった。
「え。山根ちゃん、彼氏いないの!?」
「咲良さんいるんですか!?」
お互いビックリしたら、まわりから微妙な笑いがおこった。
「まぁ。山根ちゃんの暴言はともかく、そっか、彼氏いないんだ」
「いれば、こんなに頻繁に、しかも一言も反論しないで残業しないですよ」
「それもそうね」
納得されるのも、微妙に悲しいですが。