ふわふわ。
「よかったじゃないの」
「どこがいいんですか。このままじゃ、こじらせ女子まっしぐらじゃないですか」
「いや、まぁ。どっかにいい人がいるわよ。うん。まずは書類に手をつけて欲しいけれどね」
「…………」
そうだった。
残業中だった。
パラパラと書類をめくり、肩を竦めて視線を上げると、倉坂さんと目があった。
「…………」
今の聞かれてたかな。
聞かれてたよね。
絶対に聞いてたよね?
ち、ちがうもん!
私は彼氏もいない干物女子じゃないもん!
単に残業が多くて、出会いがないだけなのよ!
……たぶん。
「残業終わらせて、飲みに行こうかな」
「何、彼氏探し?」
「そんなに簡単にホイホイみつかりませんよ。でも、何もしなかったら何も変わらないじゃないですか」
「そうねぇ。そのセリフ、耳に痛々しいけど、行動しなくちゃ変わらないわよねぇ?」
「はい」
ポチポチキーボードを押しながら、首を傾けるとポキッと鳴った。
「…………」
美容メンテも大切だけど、体調のメンテも必要かも。
女子力低下中女子に、出会いはあるのかなぁ。
そんなことを考えながら、ため息をついた。