ふわふわ。
振り替えると、何故か少し髪が乱れた感じの倉坂さん。
「きょ、今日は出張では?」
「帰りです。直帰の予定でしたが、メールを頂きまして」
「メール?」
「咲良から……今日は、山根さんの誕生日だとか」
「…………」
咲良さん!
慌てて見ると、ワイン片手にクスクス笑っている咲良さんが、頬を赤くしてニヤニヤしている。
「何せ知らなかったものですから、何も用意はしてないのですが……」
相変わらずの無表情で、ガサゴソと持っていた紙袋を渡してくれた。
「山根さん。お好きだった様なので」
白地にはくっきりと色鮮やかな波にタコのイラスト。
そして、黒字にデカデカと製造元の名前が読み取れる。
中には保冷バック。
保冷バックを開けて……
咲良さんが吹き出した。
「倉坂! アンタはすくいがない!」
ケラケラ笑う咲良さんの言葉には納得。
だれも思い付かないでしょうね。
仮にも女子のバースデープレゼントが……
確かに好きだけど、タコわさびだとは。