ふわふわ。
「ま、また、何を唐突に……」
「唐突ではありません。事実です」
そうね。
そうだね。
貴方は言ったね。
そして私は逃げたね。
「こ、ここは会社なんですけど」
「今は休憩です。さすがに就業時間なら言いません」
「…………」
なんっか……
何だかとっても。
何て言うか。
ムカつく─────っ!!!!
「そりゃあ、いい晒し者になったね、アンタは」
咲良さんが難しい顔で腕を組み、それから大きな溜め息をつく。
休憩室からやっぱり逃げ帰り、お昼から帰って来た咲良さんを捕まえて、会議室に連れ込んだ。
「また、大胆な行動力があったもんだね。倉坂にそんな行動力があるとは思わなかったけど、何か追い詰めるやり方だよね」
追い詰められましたとも。
あんな公衆の面前で、非常識って言うか、何て言うか。
いや。非常識極まりない。
「でも、ほら。男にそこまで言われるのも、女冥利につきるじゃない」
「何でですか」
「最近は、草食系が多いから、多少強引に迫られたいって子もいるし……」
「咲良さん。案外一方的な面しか見ないんですね」
「そう?」
「好きな相手……って言うか、多少なりとも好意を持ってる相手なら、強引に引っ張っていってくれて嬉しいかもしれません」
「ん? まぁ……」
「まだろくな会話も最近し始めたばかりの相手に、そんなことをされた日には……大迷惑って言うんですよ」
「……確かに。だけど、アンタ……キャラ変わってない?」