ふわふわ。

「僕は……嫌われてますか?」


静かな声に瞬きをする。


……倉坂さんて、言うことはたまにストレートだよね。

うん。

まぁ、そう感じるだろうな。

でも、そう感じたら、あまり面と向かっては聞かないよね。

そこがあまり普通じゃないって言うか。


「嫌いとか、判断できるほど親しくないと思いますが」

「では、もっと親しくなりたいです」

「…………」


な、なんか。


何だかとっても色んな意味に聞こえてきますが?

四方八方に、色んな意味になってしまうような気がしますが?


「く、倉坂さんは、何故、私と親しくなりたいんですか」

「はい?」

無表情の倉坂さんは、珍しくキョトンとして。

それから手を止めて、

難しい顔をして、

小首を傾げた。


「好いた女性と親しくになりたいと思うのは、普通の事だと思うのですが。近くにいたいですし、触れたいですし、触りたいです」


ぎゃ─────────────────っ!!


「違いますっ! そんな事聞きたいのではなくて、どうして私なんですかって聞きたいんです!」

「それは、どうして僕が山根さんに好意を持ったか……と言うことを聞いてますか?」

確認しないで欲しい。

私だって改めて確認する事じゃないけれど、だって、全く解らない。

だいたい、今まで話したこともないくらい接点なんて無かった。

企画の仕事が事務に回って来ないと言う訳ではなく、回ってきても倉坂さんからではなくて他の人からだし。

たまに倉坂さんから来ても、倉坂さんは牧野さんにお願いしていたし。

どうして私は倉坂さんに好かれたのか解らないし。

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