ふわふわ。

いつの間にか。
かな。

いつの間にか……見てたなぁ。

私、倉坂さんよく見てる?
見てるかも知れない。

たぶん、打ち上げの夜、あんなことを言われたから?

言われたから……かな?

でも、そうなのかな?

視界にも入らない、話すこともない、そんな人を“苦手”って思うかな?

現に、最近は堺さんとも話すけれど、それだって、打ち上げの時に話すと言う接点があったから。

営業の人だな。
それだけの認識で……

え?
あれ。
なんで倉坂さん苦手だったんだ?

何かされた訳でもないし、ただ話をしたことが無かったし、色んな噂もあったから?

うん。
話したこともない人は苦手……

でも、堺さんだって話したこともない?

いや、あれだって、私は倉坂さんに話しかけたら彼女が乗ってきて。

うーん?


「どうしたの? 山根っち難しい顔してるよ?」


眉間にシワが寄っていたらしい。


倉坂さんも不思議そうな目をしてる。


……無表情だけれど、不思議そうな顔をしているのは解る。

解るように……


あれ?
いつから解るようになった?


だって、無表情。


だって鉄仮面。


だって……



「ご、ご馳走さまです」



慌てて立ち上がると、何故か二人に腕を捕まれた。





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