ふわふわ。
「仔猫がじゃれあってるみたいで微笑ましいわよね」
「そんな可愛らしくないですよ」
「そんな事より書類片付けなさい。残業になるわよ」
しっかり釘を刺されてモニターに向き直った。
「それにしても、営業さんより企画の人の方が最近忙しそうですね」
「そうみたい。うちが全力でサポートするのには、企画も営業もないけれどね」
そう言いながらも、牧野さんもとても忙しそう。
私も頑張ろう。
これから忙しくなるし、今もいそがしいけれど、毎年目まぐるしいし。
それでも暇な子は、来月の予定なんかたてて楽しそうだけれど。
仕事中ですよー?
仕事中にそんな話してたら、怒られますよー?
「それでね。そこのワインがおいしいんだってー」
「あ、知ってる~。あそこのホットワインも美味しいんだよ」
ホットワインかぁ。
飲んだことはないなぁ。
ワインを暖かくしたらどんな感じになるんだろう。
お酒で暖かいのは、あまり飲まないしなぁ。
「そこの。そういう話は休憩時間にしなさい」
牧野さんの睨みがきいて、彼女たちは黙り込んだ。
たまにならいいんだけどね。
手が止まっていたら怒られる。
いいなぁ。来月の予定とか。
私のスケジュール帳は真っ白だもんなぁ。
次の休みは何しようかな。
何って言っても、部屋の掃除して、洗濯して終わりだろうけれど。
……そうか。
だから私は残業が多いのかも。
予定が空白だから、断る理由もないし。
「そうか。予定を組めば残業減るかしら」
「無理じゃないの? 山根さん人が良いし。倉坂君は計画的だし」
それはどういう意味だろう?
「とりあえず手を動かしなさい」
「あ。はい~」