ふわふわ。

まぁ、倉坂さんて同期の中では“策士”とか“越後屋”とか言われてるんだものね。

その言葉は、計画魔によく使われる言葉でもあると思うの。

何が計画的かは解らないけれど、無表情だから何を考えていても解りにくい。

最近は……ある程度は解るようになったけれど。
それだって“ある程度”だし?
ハッキリ解ると言えば、何故か私が好かれてると言う事で。

好かれてる……と言うか、何となく狙われている気分になるのは何故だろう。

確かに、好かれて嫌な訳でもないし、嬉しいかと聞かれれば嬉しい。
晒し者になるのはハッキリ言って大迷惑。
しつこくされてるわけ……ではないし、どこがどう……と言うか。

何て言うか。


倉坂さんて、答えを求めてこないよね。

お持ち帰りしようと思ったとか言われて逃げて、惚れ直したとか、彼女になってください、とか言われた時は仕事をたてに流して、どさくさ紛れの告白にはそっぽを向いた。

だから、かもしれないけれど、その後が何もない。
何もないから、私も何もしない。

どうなのかな。
まぁ、お互いにいい大人だし、倉坂さんは私よりも年上だし。
お手々繋いで“お付き合い”が始まる訳でもないだろうし。

考えて見ると、どこから“恋人”に変化するんだろう。

学生時代は“付き合おう”とか言われたり、言ったりして“OK”になって。
デートして、キスをして……イベントごとでは盛り上がって、中には身体を重ねた人もいた。

……倉坂さんも、言ってたけれど。

触れたいし、触りたい。
その感覚は解らない訳じゃない。

好きな人の体温は心地いい。
心地いいから触れたいと思うのだけど……


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