死神男子と幸運男子


やつ…生一の家は普通の家の一回りも二回りも大きく、まさに豪邸という言葉が相応しかった

洋風の白い家は黒く高い門、警備員、監視カメラで一切の侵入者を許しはしない



「すごいな、お前ん家の警備…」


視線がずっと上な僕を不思議そうに笑う生一

「ははは、そう?一度強盗が入ってから一層厳しくなったんだよ。」



そう言うと生一は警備員に近づいた

生一に気づいた警備員は


「お帰りなさいませ!生一様!」

「ただいま、藤井さん。こっちは僕の友人だから。」


生一は僕を紹介し、門を開けさせた


門があるだけで、その中の建物に対しての
好奇心が何倍にも膨れ上がる



警備員に軽い会釈をし門を通ると
家の前に一人の燕尾服を纏った老紳士がいた


「お帰りなさいませ。坊ちゃん。」 


お辞儀をし、服装を見る限り彼は執事だろう


「竹井、こっちは僕の友達で鄙くんだよ!
これから家で一緒に勉強するから。」



勉強するのか…いやただの理由作りだろう



「初めまして、鄙様。私は生一坊ちゃんの執事の竹井と申します。」


そう言いまた深々と頭を下げる竹井


「初めまして、斎藤鄙です。」


鄙も頭を下げた

豪邸、重警備、執事…
本当に生一は金持ちのお坊ちゃんということがわかった




「そろそろ僕の部屋へ行こう。」


生一は待ちくたびれたように急かした



螺旋階段を上り生一の部屋に着く
僕の部屋の三倍の広さ
品のいい家具が置かれていて全体的に
ブルーテイストだった



「あ、自由にくつろいでー」


生一はそう言うと、多分衣装部屋へ着替えをするため消えた


僕はソファに座ると手持ち無沙汰で
部屋を眺めていた


しばらくすると竹井がノックとともに
部屋に入ってきて紅茶を鄙の前に置きだした


高そうなティーセットと一緒に高そうな茶菓子を出してくれると、
失礼しますとともに退出していった



「おまたせ~。俺、家に帰ってきたらすぐ着替えなきゃ気持ち悪くて嫌なんだぁ。」


そう言いながら戻ってきた生一は
紅茶を一瞥し、竹井が用意しに来たんだね
と言った


生一は僕の向かい側に座ると紅茶に手をつけた


よく見ると手つき、仕草からいい教育を受けてきたことが垣間見える


「どうした、紅茶は苦手だった?」


不思議そうに見る生一


「い、いや、そんなことはない。」


盗み見ていた事が恥ずかしくなり
慌てて紅茶に手をつけた



にしても…


「おい、お前の家に来たが特にする事がないぞ。」


まさか本当に勉強するのか…
あまり僕は他人と一緒に授業外での勉強は
気が散ってできないタイプだ


「んーそうだね、確かにヒマだ…
チェスでもする?」


生一は半分冗談のように笑いながら聞く


特にする事もないしそれを受け入れた







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