イケメンヤンキーに愛されて

「俺な、」

こないだと同じように、翔君は話し続けた。

「来週の水曜日に帰ることんなった」
「うん」

翔君は、きっと知らないだろう。
それよりも早く、あたしが帰るなんて。

“あたしは月曜に帰るんだよ”って、そう言おうと思った。
だけど、言えなかった。

言ったらここでの生活が全部消えてしまいそうで・・・。
ぎりぎりまで、『帰る』なんて言葉を口にしたくなかった。

そのときだった。
あたしに、もう1つの悲しみが襲った。
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