イケメンヤンキーに愛されて
翔君の落ち着いた表情を見ると、自然にあたしも落ち着いてきた。
「ただいまぁー!」
玄関から姫ちゃんの元気な声が聞こえた。
外に遊びに行っていたグループが戻ってきたのだろう。
とっさに翔君は、あたしの肩を離し、耳元でこう言った。
「愛結、今のこと姫乃に言うなよ?まだ、あいつは幼いから・・・」
「わかってる」
いつもケンカしているくせに、思いやりの気持ちが伝わってきた。
このことは、あたしの年上としてのプライドをかけて秘密にする。
そう心に誓った。
でも、そう長くは続かなかった。
「皆ー!集合しなさい。お別れの挨拶よ」
亜弓ちゃんの面談の担当の人だと思われる、女性が娯楽室に来て叫んだ。