イケメンヤンキーに愛されて
きっと届いただろう。あたしの精一杯のエールが。
「愛結、立てよ。ほら」
いつのまにか座り込んでいたあたしに、翔君が手を差し出して立たせてくれた。
「愛結ちゃん、大丈夫?」
「皆、いつか帰らなきゃいけないんだよ。仕方ない・・・」
「愛結ちゃん、どーしたの?亜弓ちゃんは、外遊びに行っちゃったの??」
龍樹君、一成君が心配して悲しい顔で力なく笑った。
そんななか、姫ちゃんだけが何のことなのかまったくわかっていなかった。
亜弓ちゃんが外に行ったことを気にして、外を眺めている姫ちゃんを見るのは、心が痛かった。
姫ちゃんが帰る日までに、何人が帰るだろうか?
そのたびに、幼い姫ちゃんが悲しい思いをするなんて耐えられなかった。