イケメンヤンキーに愛されて

龍樹君と一成君が立ち去ってから、翔君はもう一度あたしに向き直った。

「で、愛結。なんだ?」
「う、ううん。なんでも、ない」

とっさに何でもないと答えてしまった。
やっぱり言えないよ・・・。

「ふーん、ならいいわ」

そういって、翔君は自分の洗濯物を取りに行ってしまった。

「はぁ・・・・・・」

自然と自分の口から出てきたため息に、自分でもイラついてしまう。
なんでこんな簡単なことが言えないんだろう。
“帰る”この一言のせいで・・・。

うじうじ悩んでいても仕方ないと考えを切り替え、次のチャンスを狙うべく、洗濯ものをとって、娯楽室に向かった。
< 209 / 281 >

この作品をシェア

pagetop