イケメンヤンキーに愛されて

「ふざっけんなよ!!!お前らぁ!!」

イスが倒れる音がした。

「えっ?」

とっさに振り向くと、ソファから立ち上がった翔君の足元に組み立て式のイスが倒れていた。
そのイスは、さっきまでソファの横に立っていたものだ。

翔君は、もう一度倒れたイスを蹴ると、娯楽室を出ていった。
部屋を出ていくときに翔君の顔がちらっと見えた。

その顔は・・・、怖くて、でも悲しそうで、放っておけなかった。

「翔君っ!」

去っていく翔君の背中に声をかけたが、いつものように振り返ってくれなかった。
それなら、追いかけようと思って、足を踏み出したが娯楽室にいきなり飛び込んできた龍樹君と一成君に止められた。

「愛結ちゃん、やめなよ」
「あれは、しばらく放っておいた方がいいよ。今は危険」

真剣な顔の2人の言葉に、あたしは折れるしかなかった。

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