イケメンヤンキーに愛されて

「ごめんごめーん、あたしが悪かった!ね?」

このままでは、また翔君がキレだすのは目に見えていた。
だから、わざとらしいほど謝った。

「くそっ」

翔君は自分がバカにされているのに気付き、小さく毒づいた。
それを見たあたしも、くすっと笑ってしまった。

翔君は口をムッとさせると、あたしに背を向けた。

「俺、戻るわ」
「あ、うん」

翔君はだるそうにゆっくり歩いて行った。
そのときにあたしは気づいてしまった。

「げっ!!」

翔君に、また言うの忘れてた・・・。
とっさに追いかけようと思ったが、もう翔君の後ろ姿は見えなくなっていた。

「はぁ~あ」

ため息をつきながら、あたしも娯楽室に戻った。
< 220 / 281 >

この作品をシェア

pagetop