イケメンヤンキーに愛されて
「愛結ちゃん・・・」
玄関で、東さんはあたしを振り返って目で促した。
皆への最後のお別れの時間だ。
「皆、ありがとうね」
いよいよなんだと思うと、じわじわ涙が出てきた。
「・・・っ!」
唇をかんで、あふれようとする涙を抑えた。
泣いちゃだめだ。
「愛結ちゃん、泣いてるの? 姫がいるから、泣かないで?」
こんな小さな子にまで、心配させちゃだめだ。
もう我慢の限界だから、早く帰ろう。
「愛結ちゃん、行きなよ。自分の本当の居場所で、ちゃんと頑張って」
「うん。じゃあ、皆ばいばい」
真君が気を使って、背中を押してくれた。
そして、東さんがとうとう玄関のドアを開いた。