イケメンヤンキーに愛されて
ドアを出て、振り返ると皆が手を振っていた。
あたしも手をふり返し、進もうとしたときだった。
「愛結!!」
「・・・え?」
翔君が一番後ろで、叫んでいた。
「俺、なめんなよ! 絶対、絶対っ・・・!」
「ありがと」
絶対の続きは、“探してやる”に決まってる。
ここでのことは口外してはならないはずだから、翔君も東さんにバレないように気を使ったんだろう。
名残惜しさを振り切るように、姫ちゃんの泣き声も全部、聞こえないふりをした。
そして、久しぶりに来た建物の外。
駐車場には、うちの車が止まっている。
あの中に、お母さん、お父さん、お兄ちゃんもいるんだ・・・。
車に向かって東さんと歩いていると、突然車のドアが開いて人が転げ落ちるように降りてきた。
「愛結っ!!」
その人は、名前を呼びながらあたしを強く抱きしめた。