三日恋〜晴と雪の恋物語〜

「ありがとう」


そう言って晴斗は微笑んだ。


やっぱり、弟君の事褒められると嬉しいんだね。

「晴斗…」


「ん?」


呼び掛けると、私が握っていない方の手で涙を拭きながら返事をする。


「話してくれて、ありがとう」


「ん」


晴斗はただ、そう短く答える。


そして少しの沈黙の後、


「俺こそ、聞いてくれてありがとう」


握った右手が、少し握り返された気がした。


「俺、誰かに聞いて欲しかったのかもしれないから、ちょっと、楽になった」
< 61 / 197 >

この作品をシェア

pagetop