三日恋〜晴と雪の恋物語〜
「ありがとう」
そう言って晴斗は微笑んだ。
やっぱり、弟君の事褒められると嬉しいんだね。
「晴斗…」
「ん?」
呼び掛けると、私が握っていない方の手で涙を拭きながら返事をする。
「話してくれて、ありがとう」
「ん」
晴斗はただ、そう短く答える。
そして少しの沈黙の後、
「俺こそ、聞いてくれてありがとう」
握った右手が、少し握り返された気がした。
「俺、誰かに聞いて欲しかったのかもしれないから、ちょっと、楽になった」