カルネージ!【完】
人を小馬鹿にするように鼻で笑った青年は、比較的空いているファストフード店へと歩きだした。
……なんとなく、阿久津が今日他の誰でもなく、私と、街を練り歩くことに決めた理由が分かった気がする。
都合よく使えるパシリが欲しかっただけなんだ。きっと。いや、絶対そう。
彼が自動ドアをくぐったところを見届けた後に苦笑いを浮かべ、そそくさと阿久津の注文を叶えるべく私もチキン店へと足を踏み入れた。
――まあ、それでいいけどね!
疲れるのは否定できないけど、阿久津といると退屈はしない。
家で、親や弟たちから彼氏がいないのをからかわれて過ごすよりは、よっぽど楽しいかもしれない。
店の中は温かく、香ばしい香りが充満していた。良い匂い。
二つ設置されているレジまでにはどちらとも数人が並んでいて、なるべく少ない方を数えてはその最後尾につく。
更に端の方では、注文を終えたらしい人が数人待っているから、結構時間がかかっちゃうかもしれないなあ。
あの阿久津が、そんなに待てるだろうか。