カルネージ!【完】
あれ、そういえば、何の味にすればいいんだろう?
いつもは細かく自分の好みをしつこいくらいに話すくせに、今日はさっさと私にお金を持たせて行ってしまった。
……クリスマスチキンでいいか。2個くらいで。
あ、ついでにシェイクも買っちゃおう。ここのいちご味は甘くてすごく美味しい私のお気に入りだ。
ぱしられてあげたんだから、それくらいはいいよね!
ぼんやり考えているうちに列は進み、クリスマスチキン2つとシェイクを注文すれば、番号の書かれたレシートを渡された。
……ちなみに最初に、予約していない客は30分ほど待つ必要があることも断られた。
そのことを阿久津にラインで伝えたけれど、10分経っても返信はない。
店の端に設置されている小さなベンチは私より前にいたチキンを待つ人たちでいっぱいで、しょうがなくその横に立って待つ。
ひとりで、しかも阿久津のチキンのために30分も……。
思わず漏れた溜息も、店内に絶え間なく流れる愉快気なクリスマスソングにかき消された。
……周りから見た私ってどう思われてるんだろう。
年頃の女子高生が一人チキンて……! なるべく知り合いには会いたくないなあ……。