カルネージ!【完】




***



――結局手元の紙に記された二桁の数字が店員さんに呼ばれたのは、注文を終えてから25分後のことだった。



覚悟していたより早く用意された温かい箱が入った袋を右手にぶらさげながら、ラーメン屋の店員さんとは対称的な明るい声に見送られる。


店を出る時、また入ってくるお客さんとすれ違ったから、この後もチキン店の多忙は続くのだろう。



スマホを見ると、未だ阿久津から返信はきていない。でも見た形跡はある。


既読無視は常だけど、今回ばかりは困るって!



……まさかと思うけど、私に頼んで満足してひとりで帰っちゃったってことはないよね?



チキン店の名前が堂々と書かれた袋を持っている後ろめたさから、店には入らずに彼が自ら待つと言ったファストフード店を外から覗き見るけれど、それらしい人影はない。


知らないおじさんと目が合って少し気まずくなっただけだった。



返信のないラインの履歴に、新たなメッセージを私からまた送信する。


早くしないとチキンが冷めちゃうじゃないか。



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