カルネージ!【完】
「――あ、辻野」
「えっ?」
不意に後ろから名前を呼ばれて振り返れば、涼しげな顔の阿久津が私のすぐ後ろに立ってこちらを見下ろしていた。
……。
……こいつ……。
「もー! 何で外出るの! 待つって言うなら大人しく待ってて! 返信もしないし! 不安になるじゃん!」
「ボクにリア充だらけの空間に耐えられるだけの忍耐はなかったみたいだよね」
「じゃあ私んとこに来ればよかったでしょ」
「人ごみ無理」
「外も変わんないじゃん、ていうか外の方がカップル大量発生じゃん」
――やっぱり、阿久津はよくわかんない。
寒がりで、リア充をひたすら僻んでて、人ごみを嫌う。
なのに私を誘って出掛けた。今日なんて最悪な日じゃないか。
変なこだわりがあるのか、何か深い意味があるのか何もないのか。