カルネージ!【完】
「……阿久津、はいこれ」
「ああ、どうも」
――まあ、考えたってしょうがない。
なぜなら彼は阿久津なんだから。
諦めて溜息を吐いた後に、チキンの入った袋とお釣りを差し出した。
それに手を伸ばした青年は、私の先程までの憂鬱に気付いていたのかいないのか、特に気にする風もなく右手で受け取る。
それから中身を確かめて、その中に彼の注文になかったシェイクを見つけ、こちらをじっと見る。
「あ、それ私の! つい買っちゃった」
「……まあ別にいいけど」
「え、えへっ! 阿久津も飲む?」
「いい。甘いの苦手だから」
「そうなの? 知らなかった!」
「……はい、これ」
「……え?」
不意に目の前に差し出された紙袋に、戸惑って首を傾げた。
……そういえば、さっきから、阿久津の左手には30分前に別れたときにはなかった紙袋がぶらさがっていた。