カルネージ!【完】
うそ、あの時阿久津、私の話なんて何も聞いてなかったじゃん。
ノーリアクションだったじゃん。
ていうか、言った私の方が忘れてたのに。
「……これ……」
「落ちてた」
「……今更何を……」
「偶然落ちてた」
「……ラッピングまでしっかりされてるのに?」
「……」
「……ありがと」
えへっと笑って、ふわふわのくまを膝の上に乗せる。
……この子を買うために、私にパシらせたの? 阿久津の計算だったの?
――そんなの嬉しいに決まってるじゃないか。
「……ほんとに落ちてただけだから」
「わかったって、ありがとね、阿久津」
「……やっぱ返せよ。辻野に飼われるこいつが可哀そうだよね」
「いやいや飼われるって……」
何言ってるか、自分で分かってんのかな。阿久津。
珍しく、分かりやすく照れ隠しする普段クールな青年がおかしくて、思わず吹きだした。