カルネージ!【完】
こういうクリスマスも悪くない。多分。
「……何ニヤけてんの。きもいよ」
だけどすぐに不機嫌な表情を取り戻した阿久津は、すっかりいつも通り、通常運転だ。蔑むような視線を惜しげなく私に向ける。
そんな彼に苦笑いを浮かべた直後、ふわりと冷たい何かがコートの上に舞い降りて、冷たい風が吹いた。
「……雪」
「くそ寒いんですけど。辻野、そのコート貸して」
「私だって寒いもん。……積もるといいねえ」
「もしそうなったら家に引きこもるしかないよね」
あちこちではしゃいだ声が上がって、どのカップルもみんな寒さを理由に身を寄せ合う。
幸せそうなその様子を眺めた後に、隣の阿久津へとそっと視線を移した。
今度はどんな毒を物騒に吐き出すのか。
予想通り、うんざりした表情でリア充諸君を暫くの間見ていた彼は、不意に口を開く。