カルネージ!【完】
「……」
「……?」
何も言わない同級生に、やっぱり不安になって恐る恐る顔を上げれば、予想外に阿久津は優しい顔をして笑っていたから、見慣れない表情に、一瞬どきっとしてしまう。
ずっとこんな顔で笑ってれば、可愛いのに。なんて少し考えたけれど、
「辻野、どーも」
そう言う声は嬉しそうで、私の方が恥ずかしくなって頬が熱を帯びた。
気付かれないように、いえ、と呟いてそっと俯く。私の方が照れる。
――だから、そういう顔は、たまにでいい。
「……ところで、これ中身なに?」
「コーヒー豆」
「え」
「甘いの嫌いって言ってたから。豆だよ。コーヒー豆」
―[2]たまにはお願いね? fin.―