そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
そこへ部長が出社してくる。

「おはようございます部長」

そう言って誠に近づくなり、事の次第を説明する。


「分かりました、澤田君は何時もなんですよ。

体壊さないか、心配なんですけどね・・・

その書類、会議室の机に一部ずつ配っててもらえますか?

それと、給湯室に、お茶のペットボトルが箱でおいてありますからそれも一つずつ」

そう言って微笑む誠に、私は笑顔で頷いた。


書類の束を持つと、会議室に歩いていく。

「・・・!!!」

バサッ…ドサッ・・・・。

何かにつまづいて、こけてしまった。

…大事な書類が。

私は慌ててそれらを拾う。



クスクス・・・。

そんな私を誰かが笑っているのが聞こえた。

振り返ると、私とは違った制服姿の事務職らしき、女子社員が2人。


「こんな所でこけるとか、ださいよね~」

「・・・」

…それは明らかなイジメだった。

あの女子社員が出した足によって、こけらされたのは分かった。
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