そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
資料室。澤田さんは本当に資料を探している。…私はそれを黙ったまま見つめていた。

「…矢沢、プライベートな事を仕事に持ち込むな」
「…すみません」
そう言って俯く…。仕事とプライベートは別だって事は、よくわかってる。

…ドキ。

そっと上を見上げると、いつの間にか目の前に、澤田さんがいて。

「そんなに辛そうな顔してると、こっちまで辛くなる」
「…澤田さん」

どう反応したら良いのかわからず困ってしまう。

…すると突然。
澤田さんが私を抱きしめた。

「は、離して下さい」
私は咄嗟に澤田さんを押しどけようとした。でも、力の差はれきぜん。

「…矢沢」
「…仕事にプライベートな事を持ち込んでるのは、どっちですか?」
そう呟くと、澤田さんの私を離して、困ったように笑った。
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