そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
悔しいけど、そんな事を考えてる場合じゃなかった。

泣きそうなのを必死に堪えながら、

私は散らばった書類たちを拾い上げる。

…スッと。


…誰かが拾った書類の束を差し出した。


「…大谷さん」

毒舌な修が、拾ってくれたのだ。

本当は、心の優しい人。


「ありが「やっぱ、とろいな」

「・・・・」


…前言撤回。

「これくらいで泣くなよ?ここは会社」

「・・・わ、わかってます」

私の言葉に納得したのか、修は立ち上がり、

オフィスに戻っていった。


・・・あれ?


書類の束の上に、アメが一つ。

どうやら、修が置いて行ったようだった。


「…子供じゃないんだから」

でも、なんだか嬉しかった。

たかが飴玉一つに・・・。

涙は止まって、笑みがこぼれた。
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