そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
好きだから、愛しているから、想いが行き過ぎて勘違いする。
大谷さんだけじゃない。…私だって同じ経験をした。

それでも、大谷さんは許してくれて、愛してるって言ってくれた。

色んな経験をしながら、二人の想いは深くなる。

…飛び込んだ私を、大谷さんはそっと優しく抱きしめた。


「…もっと抱きしめてください」

私の言葉に、抱きしめる腕に力が籠められる。
でも決して苦しくなどない。

「ギュッと抱きしめてください」

その言葉に答えるように、大谷さんは抱きしめてくれる。

・・・あぁ、やっぱりこの腕の中が一番いい。
そう思えた。



「…ゴホン」

「「・・・・あ」」

いつの間にか、父が仕事から帰って来ていて、気づいてもらえない父は、咳払いをしていた。
その隣で、母が、クスクスと笑っている。


「…お邪魔しております・・・大谷修と言います」
私をそっと離して、大谷さんは父に、頭を下げた。


「…君かね?…うちの大事な娘を泣かせたのは」
冷たい眼差しで、そう言い放った父。


「…すみません・・・その通りです」
「帰りたまえ…もう、娘に近づかないでくれ・・・娘を泣かせる男など、私は嫌いだ」

「お父さん!」
私は父に怒鳴った。
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