そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
「…本当の所、このプレゼン間に合わない筈だったんだ。

でも、矢沢が助けてくれたからこうやってプレゼン出来た。

…新人だけど、企画部にとってはいい戦力だよ。

改めて、これからよろしくな」


そう言って、彬は握手を求めた。

私は少し照れながら、その手を握った。


「半人前ですが、一生懸命頑張ります」

私の言葉に、彬が笑った。


…最初はやりにくい人だと思ったけど、

本当はただ、仕事を一生懸命してるだけだった。

彬は私を育てる為に、色々手伝わしてる、良き先輩だと思った。


…清々しい気持ちで、オフィスに戻ると、

なんだか不穏な空気・・・・。


無事にプレゼンが終わったと言うのに、なんなのこの空気の悪さは。


「ぁ、あの、杉下さん、どうかしたんですか?」

小声で、航希に問いかける。


「あ~・・・いつもの事だから気にしない」

「・・・いつも??」

首を傾げる私に、航希は耳打ちした。


「誰かの企画が通ると、誰かがヤキモチ妬くの」

「・・・へ?」

「澤田先輩と、大谷先輩はライバルみたいなもんだから」

…なるほど。
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