そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~

●独りは無理です

暗い道が怖くて、委縮する私を見かねて、

修は私の手を優しく握りしめ、自宅へと歩いていく。

もう片方の手には、必要最低限の荷物が入ったボストンバッグを持って。


セキュリテイーのしっかりしたマンションに住んでいる修。

仕事がよくできるエリートだけに、それなりの収入もあるに違いない。


部屋の中に案内された私は、洗練された家具たちを横目に、

リビングに入った。


その場から動けない私を、修は無理やり浴室に連れて行くと、

風呂に入るように促した。


「風呂に入らない奴は寝かせない」

という事らしいが。

修なりに、考えての事だった。


お風呂から上がると、今度は何を言うでもなく、寝室に連れて行かれる。

「さっさと寝ろ、明日も仕事だろ」


それだけ言うと、寝室を出ていった修。

・・・そんなこと言ったって、眠れるはずがない。


しばらく寝ようと頑張ってみたが、目を瞑ると、あの血走った目が

私を見ているような気がして眠れない。


…私はベッドから起き上がると、リビングに向かった。
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