そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
…喫茶店で待ってろと言われたけど、どうも無理だと言う事が分かった。

だって。


「…すみません、女の子は残業なんかするものじゃないなんて

言っておきながら、私がお願いしてしまいました」

そう言って謝る誠。

私は笑顔で応えた。


「何を言ってるんですか?これは仕事です。

上司に頼まれたら、部下は受けなきゃダメじゃないですか。

この仕事、私、本当に好きなんです。だから、気にしないでください」


その言葉に、誠はホッと溜息をついていた。


「早速なんですが、向こうの棚にあるこの資料をお願いできますか?」

「わかりました」

誠に言われた通り、棚から資料を探していく。

どれも低い段にあった為、すぐにとる事が出来た。でも。

一つだけ、一番上にある資料も書かれていた。

…しかも凄く分厚い。


私は何とか背伸びしてそれを取ろうとする。

でも、なかなか取れなくて悪戦苦闘。

そんな時、私の背後から、ニュッと、腕が伸びてきた。


資料を取ってくれたのはいいが、

…非常に至近距離の為、動くに動けない。
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